三宅洋平 & 元晴(SOIL&”PIMP”SESSIONS)from (仮)ALBATRUS
聞き手:南兵衛@鈴木幸一 文:葛原信太郎 写真:megsuko
ドラマーPすけ復活とともに!(仮)ALBATRUSがNH!に登場!
いよいよ(仮)ALBATRUSがフルメンバーで関東にやってくる!
みんながどれだけこの日を待っていたか。
世界が揺れたあの日からずっと叶わなかったみんなの思いが、道志の森で実現するんだ。
三宅洋平と元晴。この2人の話が、音楽の話だけにとどまるわけもなく
2人が考える今の社会について大いに語ってもらった。
Pすけがついに関東へ!!
元晴:今回の何よりのビッグニュースは、Pすけが関東に来てくれることだよね。
三宅洋平(以下三宅):1000日だね。1000日っていう時間がいろんな意味で悶々がなくなるためにかかる気がしていたけど、やっぱり1000日だった。
元晴:311以降、放射能のことがあって、ずっと来れなかった。そういう仲間が身近にいてくれたから自分たちの意識が薄れることがなかったよね。東京には、日本で一番多くの人が住んで、それぞれの生活を営んでいるわけだし、俺らが音楽を通じて出来る力っていろいろあると思う。
三宅:今回のアルバム、100万枚売ろうってみんなで言ってるんだ。そういう時代ではないだろうというのはわかっているんだけど、でも100万人に届ける努力っていうのは意味があると思っていて。俺の選挙の時は、だいたい100万人ぐらいの人にリーチして17万人が票を入れてくれたんだよね。若い頃は馬鹿にしているところもあったメジャーっていう領域で、日本隅々まで相手にして音楽やってるような人のすごさが、選挙に出てはじめてわかった。だから今は、自分が選挙で伝えたかったことを、自分のベースである音楽でやろうと苦悶しているところなんだよね。
元晴:SOIL&”PIMP”SESSIONSがやってるJAZZって音楽は、迫害された黒人、ユダヤ人がはじめたもので、音楽聞いている時だけは全部わすれていたい!ってときに必要だったのがJAZZだった。そこに言葉は必要なかったんだよ。だから、SOILでライブをやるとき、特に311以降は、そこを大切にしていている。
それと対極にあるのが、(仮)ALBATRUSで、もちろんその瞬間、瞬間、言葉が飛んでいることもあるけども、必ず一つ言葉を持ち帰って、自分で考える。そんなことを促すのが(仮)ALBATRUSだと思う。
話す力、聞く力
三宅:でも、俺だけじゃ説法だからね。自分とバンドが、言葉と音でフラットに一つの絵になっている時が気持ちいい。言葉はリズムに乗ってこそ届く言葉になったりもするし。選挙の時だって、演説に至るまでの何時間かを、みんなが音楽でバイブスを作って、うねりがある状態で飛び込んでいったからこそあの演説ができた。
ただ、今感じるのは、トークセッションの時代がきてるってこと。アーティストも、事務所の関係でって口を閉ざしてた人たちに、しゃべるって裾野が広がってきているよね。
話す力、聞く力、対話力って、民主主義の根幹だと思うわけ。戦争じゃなくて話し合って決めようよって、戦争に懲りた人たちの発想からデモクラシーは生まれているから。オープンに話すっていうのは、それなりに技術もいるけど、話す力って同時に相手との対話だから聞く力も大事だよね。
元晴:そこには経験が必要。俺も北海道に生まれて、育って。そこから出て初めて、地元の良いところも悪いところも見えてきた。海外にいけば、日本のいいところ、悪いところが見えてくるし、旅をしてコミュニケーション能力もあがっていくもんだよね。
黒と白の間はグレーじゃない。レインボーだ!
三宅:海外に行ったら自分のことを自分の言葉で表現しなきゃいけない。俺はどっから来た何々で、旅してるのはこんなわけでって。日本社会にどっぷりだとなんとなく察してもらえたりとか、言わずもがなみたいのあるじゃん。海外じゃ人種が混合しているなんて当たり前。
日本人も自分たちの国が多様性のある社会だっていうことを認めないといけないよね。だって顔見れば日本人の中にだって、ルーツが韓国だよねとか、中国だよねっていろんな人がいるのがわかるわけで。
元晴:日本はひとつだって謎の意識がそういう多様性を失わせるよね。日本ではさ、白と黒の間がグレーなんだよ。でも、ヨーロッパではレインボーなんだ。本当はいろんなカラーがあるはずなのに、日本はそれをグレーとしか見ていない。
三宅:それ、すごい詩的な表現だね。黒と白の間はグレーじゃない。レインボーだ!ってやばいね。
元晴:いろんな色があるのを知っていて、自分とは違う色だけど、他の色があってもいいじゃん。それが「We are Liberal.」だよ。キューバリブレってカクテルあるでしょ?あれね、本物はアメリカのコーラ半分、キューバのラム半分、50:50で割ったものを言うんだ。ラムコークじゃないんだよ、キューバリブレは。50のコーラを認めるのがキューバの自由。
三宅:日本だって、たった数十年前に、戦争して、原爆を落としてきた国なのに、「アメリカかっこいい!」って思ってるわけだよ。それが文化の力だと思う。アメリカからくる音楽や映画は、クオリティがすごく高くて、いろんな思いを吹き飛ばすくらいの力を持っていたんだとすれば、俺らが文化の力を通じてできることだって、相当でかいはず。
元晴:この間、イスラエル大使館のイベントにソイルで出演したんだけど、それもまさしく文化の力だったんだよね。例年は日本の雅楽とか和太鼓とか、日本のトラディショナルミュージックをやってイスラエルに住んでいる日本ファンを呼んでたらしいんだけど、今回は今の日本の姿を見せたいっていう趣旨で「TOKYO CLUB NIGHT」っていうのを大使館の主催でやったんだよ。HIFANAとかMUROとかDJ MITSU THE BEATSなんかが出演して、すごくいいブッキングだと思ったんだけど、それを企画した人は大使館に勤めているクラブ好きの人だったんだよね。
ーーなかなか世の中が変わってこないって実感もあるけど、少なくてもフェスがあるっていうのは当たり前になったよね。フジロックの一回目に来た子たちがその時20歳だったら、今は30半ばで、そろそろ現場で力を持ち始めるころ。そうすると、イスラエルの例みたいなことも増えてくるだろうし、行政の現場で今までとは違うでジャッジができる。これからきっと変わっていくよ。カルチャーを生み出す種はもう蒔かれているから、次にはそこに何をするのか。2人にはすごく期待してます。
三宅:自分らの音楽は、クラブって場所を母体にしているから、遊んでたみんなも、子どもができるとだんだん来なくなってきて寂しいなって思ってて。もちろん、子どもがいるっていうのは、大変なんだけど、逆にキャンプだと連れてきやすいよね。
元晴:緩んでるようで上がってる”お祭り”ってすごく大事なだって思う。みんなで集まって、笑顔を確認するために集まれるから。
ーー道志村では、キューバリブレで乾杯しよう!楽しみにしています!
(仮)ALBATRUS
犬式 a.k.a. Dogggystyleの細胞分裂後、三宅洋平が一年間に及ぶセッションと旅を繰り広げた末に辿り着いた、信天翁(アホウドリ)という名を冠する、jam band界隈や国内地下シーンを代表する手練れ達によるドリームバンド。三宅曰く「標榜するのは、スピリチュアルでフリーなアートするROCKである。求めるのは地球の民族性である。」。
2012年春の1stアルバム『ALBATRUS』リリース後のバンドライブ活動の中、2013年夏に三宅洋平は参議院選挙全国比例区に立候補、(仮)ALBATRUSメンバーを含む多数のアーティスト達と共に全国各地の駅頭街頭で「選挙フェス」を展開。音楽と選挙&社会アピールが交じり合って起こった各地での大きなウズはやがて、三宅洋平を17万6千票獲得の最多得票落選者として政治から文化を横断する話題の人へと押し上げた。
そして2014年、(仮)ALBATRUSは3ー5月のレコーディングを経て、このNatural High!で311震災以来の“Peace-Kの関東へのライブ復帰”が実現。新作アルバムまで含む本格的な活動拡大へ、期待高まる新緑の春である。