中沢新一インタビュー【「3000人の都市が自然の中にそのまま生まれて発生する何か」がNatural High!】2012年インタビューより

2012年の開催の時には、あの中沢新一さんも登場したナチュラルハイ。
会場では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんの対談も実現しました。

そんな2012年の事前のインタビューを再掲載です。

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中沢さんは、飄々として柔軟、軽やかな存在感で、いつも何かしらのユーモアを傍らにした人だ。

“緑の意識”の人々をつないでいくと中沢さん自身が言うのだから、311以来、日本の自然、僕たちのライフスタイルの未来、に真剣に向き合ってきたアースガーデン/ Natural High!が、中沢さん達の動きに連なっていくのは必然だったのだと、その笑顔に納得させられてもしまう。

「日本の大転換」「アースダイバー」「憲法九条を世界遺産に」などのベストセラーを次々と著し、坂本龍一、爆笑問題、細野晴臣、内田樹、河合隼雄、吉本隆明、梅原猛といった方々と縦横無尽な言葉(共著)を紡ぎ続けてきた、中沢さん。

インタビューは一方で、彼が今も人類学者としてフィールド=現場の人でもあるのだと、深く実感させられる、日本のフェスティバルの始まりの話から。

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最初のフェス体験は1997年の「RAIBOW2000」

いわゆる野外音楽フェスはね、1997年の「RAIBOW2000」に行ったことあるね。2年目だったのかな? 富士山で、天気悪かったよね。でも、まったく今まで見たこともないものだったから、山の中の遊園地で、ズーッと霧と嵐の中で音が出続けるカオスのような状況でね。集まっている人も自由人の集まりというか、あんまり制御されていない、多種多様に混沌としていて、そこが面白かったですよ。

あとトランスDJのTSUYOSHIと対談したこともあって、わりと早いうちからフェスティバルの世界には触れてたんだと思うね。

だって、僕は人類学をやっているわけだから。フットワーク軽くないとダメだから。

そもそも、人類学っていうのは無駄なことをしないとだめなんですよ。研究のために、これだけの情報を効率的に手に入れて、とかって進み方だと、そもそも相手の人間を認識できないのね。だからあえて一緒にだらだらと時間を過ごしたり、およそ無駄なことが多くて、遊びの要素がすごく大事。

あいつは遊んでばっかりいるっていわれますけどね(笑)それはね、目的って言うんじゃないんだけど、遊びながらじゃないとわかんないことってあって、それを意図的に選んでやってるところがあるのね。

だから、Natural High !のような場は凄く楽しみですよ。

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いつか音楽とかDJとかフェスと農業をひとつなぎで一緒にできないか

昔からの探求テーマで、最初に山形に学生を連れて農作業を始めた時、一緒にやっていたのが、山形で暗黒舞踏をやっていた森繁哉さんって人なんだけど。その人は踊る農業っていうのをやってて。これはコンセプトとして新しいなと思って。農作業と踊りを結合しようとしてね。

農作業をはじめる前に森さんが田楽を踊って、それで1日田植えをして、近くの温泉に入って、夜は空き民家で合宿をして。踊りと音楽がすごかったね。女の子たちがここまで踊るかっていうぐらいまで踊ってた(笑)。

そういう体験もあって僕の中には、いつか音楽とかDJとかフェスと農業をひとつなぎで一緒にできないかなって考えてるところがズーッとあってね。

ナゼそういう事を考えはじめたかというと、僕の中で、オウムの窓一つないような無機質なサティアンの建物の姿と、福島や日本各地の原発の姿が重なって思い浮かんでくるんだけど、そこには両方とも肉体がないんですね。

オウムの修行法って、部屋にこもって、自分の内面だけを内観で見ていくってやり方だったんだけど、そこには生活も含めて、自然がまるでなかったんですよ。

あれはある意味で、基本構造から言えば原発と一緒で、原子炉のような心の膜を作って。内観みたいなことをしてエネルギーを高める。でも、結局それが暴発をしたというのを見てて、自分のこれまでの思想展開を非常に反省しました。

身体と自然のインターフェイスを作るっていうのが、いちばん重要で、それが80年代の思想とか若者の文化の中にかけていたんです。それをなんとか作りなおしていかなくてはと。だから、踊る農業に着目したわけです。

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「原発止めろ」っていう人たちの身体性が生きているのか、開いているのか

グリーンアクティブがやろうとしているのはその延長上にあって、音楽でもいいし、農業でもいいし、いろんな形で人間の体と心の作用、体と自然のつながりを開いていく、循環系をつくっていくように文化全体を変えていきたいんです。

だから福島の原発事故は本当に象徴的で、オウムが精神面で暴発したのと同じコトを、科学技術が再現しちゃったわけで。

だから、「原発止めろ」だけじゃダメで、その先にある本質をもっと目指していかなきゃいけない。「原発止めろ」っていう人たちの身体性がはたして生きているのか。そこが問題なんです。

僕が見ている限り、これまでの反原発の人たちってあまり開いていない。イデオロギーで閉鎖しているし、その原発に対してもちゃんと認識する以前に逆に神話化して拒否する。あれでは同じではないかと思うんですよ。

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フェスで3000人の都市が自然の中にそのまま生まれて発生する何か

昔、日本でも色んなところでコミューンと言って100人ぐらいで共同体を作ろうとしました。生産、消費、自然循環、人間関係で共同体を作って、それを連合体でつないでいくというイメージが、19世紀以来、長いこと理想して描かれています。

でも、そうやって昔の小さな共同体に逆戻りすれば現在の社会問題は解決できる、縄文に戻ればいいというのは違う。実際日本でのコミューンの試みもほとんど上手くいきませんでした。そりゃ、今より幸せなこともあるだろうけど、大変なことだって大きい。農業はもちろん厳しいし、狩猟採集でそんなにいつも獲物なんかとれないですよ。飢えも病気も今よりぜんぜんシビアだったはずです。

そんな事を考えていくと、その解のひとつはNatural High !にもあるんじゃないかと思うよね。フェスで3000人の都市が自然の中にそのまま生まれて発生する何か。

全部昔に戻せとか、すべて有機農業にすればとか、そういうことではないんです。人間と自然の歴史の中で、都市が必然的に生まれたとすれば、それを最適解に近づけていく必要があって。それは自然をとりいれること、身体に自然を回復していくこと。インターフェイスを構築していく、つないで交通路をつくっていく、そういうことなんですね。

Natural High !はきっとそういう事にチャレンジしている楽しい場なんだろうと期待しています。

中沢新一
人類学者・明治大学野性の科学研究所所長
1950年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。チベット仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓。著書に『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『日本の大転換』(集英社新書)など。

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