あなたが聞きたい曲、歌います。あなたのテントに“流し”が来るよ!

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あなたが聞きたい曲、歌います。あなたのテントに“流し”が来るよ!

ギターを肩にかけながら飲み屋をまわり、お客さんに「1曲いかがですか?」と声をかけ、お客さんのリクエストに答えて演奏する。時に自身がその曲を歌い上げ、時にお客様と一緒にデュエットする。1晩のうちに転々と飲み屋をまわり、そこに音楽を届けるお仕事。それが ”流し” です。どうやら、20年ほど前は、よくみた光景らしいですが、今はあまり見ないですね。アラサーな僕も今回の取材で初めて知るぐらい。 

そんな流しが、もしフェスに来たらどうなると思います?(笑)そんなこともやっちゃうのが、ナチュラルハイです。今回来てくれるのは恵比寿横丁を中心に活動するパリなかやまさんです。

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音楽家として生身の形で、人をどれだけ喜ばせることができるのかっていうひとつの試みでした。演出もなく、素性も分からない状態で出るわけじゃないですか。もちろん足りない部分もあったんですけど、非常に喜ばれたのが、今日まで続いてる理由ですかね。

亀戸の飲み屋から始めたんですけど、そこはそんなに景気のいい町じゃなくって、完全な下町で、しかも路地の中にあったから、外から人が来るようなところじゃないんですよね。基本的に地元の人。そして、歌はみんな大好き。 ここって音楽の空洞になってるところだなと気づいたんですね。ライブハウスやカラオケボックスは、巷にあふれてるけど、そこには行かない。でも、これほど音楽を愛好している。

元々は、飲み屋で、歌も音楽も全部一体になっていたんだと思うんです。漁師なら漁終わって酒飲んで歌う。海外でもありますよね。フランスではジプシーが、メキシコにはマリアッチがいて。」

お酒と音楽が一緒になっているって、、、これまさしくフェスじゃないですか!飲み屋には各テーブルが並んでいるのと同じように、キャプサイトが並び、そこには飲み屋と同じようにご飯とお酒があって、お客さんはみんな音楽が好き。フェスにはもちろんステージがあるわけですけど、青春のあの曲は聞けないだろうし、みんなでわいわい合唱するなんてこともできないですよね。これは今までにないフェス体験になるんじゃないでしょうか。

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この写真、なんだか分かりますか?これは、パリ中山さんがいつも持ち歩いている歌詞帳。つまりこれだけのレパートリーがあるわけです。もはや歩くジュークボックス。

「選曲はもちろんリクエストがあればそれに答えるんですけど、迷う人も多いから、そういうときはDJ的につないでいくこともあります。目の前にいる人から何かを受け取って歌うわけですから、できるだけ目の前の人のために歌うというか、その人が最高に喜ぶ何かをしたいんですよ。それって、その日に起こることが、全くわからないということですよね。だれと歌って、なにを歌うのか。それがおもしろいんです。
 
流しの未来についても、パリ中山さんは広い視野で考えている。それは、流しが地域を救うかもしれないということ。日本には巷間(こうかん)芸能という文化があって、巷間とは要するに”まちのなか”のこと。三味線を弾く人や大道芸をする人、そんな人も含めて街なかに芸能があふれていて、芸能で飯を食っている人がたくさんいた時期があったんですね。

ローカルに存在する芸能人がいたら日本はもっとおもしろくなるんじゃないですかね。街ごとのスターっていうか、歌手だけじゃなくていいと思うんですけど、下北のあいつ、新宿ならあいつ、とか。昔はどこの街でも流しがいて、中野だけでも20人くらいいたらしいんです。その人たちを見に、その街に行くっていうのは、地域の活性化にもつながると思うんですよ。」

街なかのスターが、街を救う。流しの未来はかっこいい。実はパリ中山さんは、流しの心得から、営業のノウハウまで、流しに必要なことをまとめて流しのマニュアル本を製作中らしいです。位置情報と連動した告知とか、SNSを使ったリクエストとか、今の世の中だからできることもあるし、まだまだ流しの可能性は広がっていでしょう。さぁ、流しのことを知らなかったあなたも、もう大丈夫。道志の森で会ったら、ぜひリクエストをしてくださいね。一緒に歌いましょう!一曲500円です!

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