【インタビュー】C.W. ニコル「道志の森に響くハーモニー」

s778_main2

今回のNatural High! 出演者には『トリプル NICOL’S』というクレジットがあります。何のことかといえば、英国ウェールズ生まれの作家であり、ナチュラリストの『C.W.ニコル』、ミュージシャンとしてのC. W. ニコルが率いるバンド『C. W. ニコルBAND』、自然を愛するC.W.ニコルに共感と敬意を示し名前をつけたバンド『D.W.ニコルズ』(C.W.ニコル公認)、つまりニコルがトリプル出演するのです。これだけのニコルが集まった日本の野外フェスはいまだかつて無いでしょう(笑)

今回のニコル旋風の中心にいる、C.W.ニコル(以下 ニコルさん)は、2001年よりアースデイ東京の実行委員長として、自然の美しさや尊さを伝えてきました。11年目の新たなスタートであるNatural High!の出演者として、こんなにふさわしい人は他にいないだろうと思います。ということでインタビューに。まずはニコルさんの音楽の話から聞いていきましょう。

ローリング・ストーンズの用心棒だったって、本当!?

ニコルさんは、早速、びっくりするような話をしてくれました。なんでもあのローリング・ストーンズの用心棒だったとか。

「たしかに、ローリング・ストーンズの用心棒をやってたよ。ブライアン・ジョーンズと同じ学校でね。僕より1年下の学年だったんだ。12歳から18歳の子どもが通う男子校。600年以上前から続く、歴史ある学校で、あのヘンリー八世が作った。僕の在学中に、その学校にいた740人のうちウェールズ系は3人だけ。そのうちの1人がブライアン・ジョーンズだった。口から生まれたようなやつで、すぐにケンカをふっかけてきて、いつも受けて立っていた。ぼくは柔道でウエストイングランドのジュニアチャンピオンだったからね。柔道、レスリング、重量挙げ、カヤック。いろんなスポーツをやっていたんだ。

 ブライアンがストーンズのメンバーと付き合い始めたころ、ぼくは20歳。ライブにもよく付き添ったけど、ぼくは大きなスピーカーは大嫌いだから、ライブは拷問でね(笑)いつも後ろにいた。ぼくはその他、ジャズクラブの用心棒やプロレスなど、たくさんのアルバイトをして北極の旅への資金を集めていたんだ。最終的に、ブライアンは最低の道に行ってしまったね。いいやつだったけど。」

s778_sub1

大きいスピーカーが苦手とのことですが、それもそのはず、ニコルさんは非常に感覚が鋭いのです。70歳まではコウモリが飛ぶ音が聞こえ、イヌイットの人が感じることのできるオーロラの音のようなものすら聞こえるとのこと。その感覚を持ってしたら、封鎖された空間での大音量はまさしく地獄かもしれません。でも、大丈夫、Natural High!は野外ですから(笑)そんなニコルさんは旅の最中も、自然の中でも、歌を欠かすことはありません。音楽をとても愛する人です。

「基本的に、歌ってない時はないよ。もちろん、動物を見たいときは気づかれないように、そっと歩くけど(笑)森のなかでクマのにおいがしたときに歌う、熊よけの曲はNatural High!でも歌おうと思っている。」

実はニコルさんは、音楽活動も熱心にされています。これまで2枚のアルバム、やNHK みんなのうたへの楽曲提供もあります。インタビューの最中にもやさしい歌声を披露してくれました。

ウェールズ人は音楽を愛す ハーモニーを愛す

「私たちウェールズ人は生まれた時から当たり前の用に歌に親しんでいます。歌は生活の一部。子どもからお年寄りまで、みんな同じ歌を知っているから一緒に歌うんです。私のおじいさんは、12歳まで学校に行って、それから炭鉱に入って石炭を掘って、第一次世界大戦に志願したような人だったけど、イタリア語ができた。なぜならイタリアのオペラが好きで、自分で勉強したから。プロの歌手でもなんでもないのにね。」

ちなみに、ニコルさんは初めてBBCに出た11歳だそうです。テレビなんてなかったころのラジオのBBC。そんなニコルさんの記憶中にある一番初めの歌というのは、どういったものなのでしょうか。

「母はその当時のヒットソングをよく歌っていましたね。

~ここで『wish a upon a star』を歌ってくれた~ 

母が歌っていた曲はよく覚えていますね。そのあとは教会で合唱団に入って歌っていたし、学校でもよく歌を歌いました。歌がないという時はないですね。」

大人になると、みんなで歌うという経験はあんまりありませんね。カラオケなんかはあるけども。

「日本の音楽は大好きだけど、カラオケは嫌いです。なぜなら、カラオケは同じメロディで同じように歌わせるでしょ。でも、歌はハーモニーを合わせるもの。入ったバーにカラオケがあったらその店には入りません。」

手作りな音楽と、音楽の場

「それに音楽業界は好きじゃないです。芸能界とかね。やっぱり手作りな場がいいです。」

よかったぁ。Natural High! は、手作りすぎるくらいなフェスです(笑)ちなみに、ニコルさんのライブの後は、アイヌのミュージシャン、OKIさんに出ていただく予定です。と伝えると、一緒に番組を作った仲であることを教えてくれました。また、もうひとつのニコル、D.W.ニコルズについても一言もらいました。

「D.W.ニコルズは、ハーモニーをちゃんと使ってるからね。ぼくが勧めたんだけど(笑) 彼らはすごくいい。『D.W.ニコルズ』と名前を決めるときに相談がきたんですが、曲を聞いて、あぁ、いいじゃないって思って、それから、すごく仲良しになりました。ぼくは口うるさく、あぁしろ、こうしろって言ってるだけですけどね。」

さて、ニコルさんの意外な一面を見ることができた今回のインタビュー。当日への期待も高まりますね。トリプル NICOL’Sとともに、新しくなったNatural High!を多くの人に体験してほしいです。今年も、道志の森でお会いしましょう!